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津地方裁判所 昭和45年(行ウ)7号 判決 1973年3月15日

三重県四日市市朝日町九番九号

原告

三重ヤクルト販売有限会社

右代表者代表取締役

谷畑忠雄

右訴訟代理人弁護士

竹下重人

被告

四日市税務署長

西山幸夫

右指定代理人

服部勝彦

長谷正二

浜卓雄

真弓勇

森本善勝

斉藤清光

鈴木伸

右当事者間の昭和四五年(行ウ)第七号法人税更正処分取消請求事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当事者の求めた裁判

一、原告

(一)  原告の昭和四二年四月一日から昭和四三年三月三一日までの事業年度の法人税について、被告が昭和四四年五月三一日付でした更正処分のうち名古屋国税局長の昭和四五年四月二三日付審査裁決によつて維持された部分を取消す。

(二)  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決。

二、被告

主文同旨の判決。

第二、請求原因

一、原告は、昭和四二年四月一日から昭和四三年三月三一日までの事業年度の法人税について、所得金額欠損二、二六五、六八一円、税額零と確定申告したところ、被告は、原告が昭和四二年九月一日に訴外小田切道三から譲り受けた営業権はもともと原告の権利に属していたものであるとの認定のもとに、昭和四四年五月三一日付で原告の右事業年度の法人税につき、所得金額二〇、六〇五、八五五円、税額七、〇〇一、七五〇円と更正し、同時に過少申告加算税三五〇、〇〇〇円の賦課決定をした。

二、原告は、右更正処分を不服として、昭和四四年六月三〇日訴外名古屋国税局長に対し審査請求したところ、同局長は、昭和四五年四月二三日付で右更正処分の一部を取消し、所得金額二〇、〇九〇、一二九円、税額六、八二一、四〇〇円、過少申告加算税三四一、〇〇〇円とする旨の裁決をし、右の限度で右更正処分を継持した。

三、しかし、前記営業権はもともと原告に属していたものではなく、被告のした前記更正処分および過少申告加算税賦課決定処分は、事実を誤認した違法なものであるから、その取消しを求める。

第三、請求原因に対する被告の答弁

請求原因第一項および第二項は認め、第三項は争う。

第四、被告の主張

一、審査請求に対する裁決によつて一部取消後の本件更正処分の根拠は次のとおりである。

1. 原告の申告にかかる所得金額

欠損 二、二六五、六八一円

2. 右金額に加算したもの

(1)  営業権譲渡益 二一、九七五、〇〇〇円

(2)  減価償却不当 一、一五九、二一五円

小計 二三、一三四、二一五円

3. 1.から減算したもの

(1)  営業権譲渡原価 七三〇、九五七円

(2)  営業権計上不当 四七、四四八円

小計 七七八、四〇五円

4. 差引課税所得金額 (1+2-3) 二〇、〇九〇、一二九円

二、原告会社の実態について

(一)  原告会社は、昭和三七年四月二日に訴外家入日出夫、同鈴木久男を発起人として設立されたが(当初は商号を有限会社ヤクルト三重営業所と称し、昭和四一年一〇月に現在の商号に変更した。)、同会社は、右発起人らが各個人でヤクルト製品販売の営業所を経営していたものを法人組織にしたもので(いわゆる法人成り)、その営業内容は、後記三の(二)記載の如く、訴外家入逸郎が有していた三重県中部の営業権(販売独占権)を同訴外人から譲受けたほかは、右発起人らの個人経営当時と変りはなく、その資産についても什器、備品、在庫品等は勿論、売掛金等の債権および債務等営業の全部が原告に承継されたもので、右設立当時の出資者は、右発起人両名のみ(出資持分各一、〇〇〇口、総額各一、〇〇〇、〇〇〇円)であつた。

(二)  右訴外人両名は、昭和三九年四月三〇日同人ら両名の有する原告会社の右各出資持分および同人らが株主となつていた訴外株式会社三重ヤクルト工場(昭和四三年二月二六日に三重中部ヤクルト販売株式会社と商号変更、以下単に三重ヤクルト工場という。)の株式合計五、三〇〇株を、一括して総額三五、〇〇〇、〇〇〇円で訴外株式会社ヤクルト本社(以下単にヤクルト本社という。)に譲渡し、同本社は、右三重ヤクルト工場の株式五、三〇〇株を六、〇〇〇、〇〇〇円原告会社の出資持分二、〇〇〇口を二九、〇〇〇、〇〇〇円と算定評価し、その後間もなく右出資持分二、〇〇〇口を訴外小田切道三に対して二九、〇〇〇、〇〇〇円で譲渡し、同訴外人は原告会社の代表取締役に就任したので、原告会社に対する支配は、名実ともに同訴外人に帰属するものとなつた。

三、営業権譲渡益について

(一)  原告は、昭和四二年九月一日原告の有する三重県中部の営業権を、三重ヤクルト工場に対し二一、九七五、〇〇〇円で譲渡した。

(二)  ところで、原告は、右営業権は昭和四二年九月一日原告が当時の原告会社代表取締役である小田切道三から四一、八四七、二七〇円で譲り受けた三重県中北部の営業権の一部であり、これを同日その譲受価額二一、九七五、〇〇〇円と同額で三重ヤクルト工場に対し譲渡したものであるから、譲渡益は発生しないものとして確定申告している。

(三)  しかしながら三重県中部の営業権は、もと訴外家入逸郎が津営業所として個人営業していた地域に関するものであるが、同訴外人は原告会社の設立に参加せずに原告会社に対し右営業権を譲渡することとし、原告会社はその設立日にこれを一、二二四、五〇〇円で譲り受けたものである。また、三重県北部の営業権は、原告会社設立の際、前記家入日出夫、鈴木久男から原告に無償譲渡されたものである。即ち、営業権は、その性質上営業と離して譲渡または移転のできないものであり、一般に個人企業が法人成りした場合、個人企業当時発生していた営業権は、組織替えに際し、特に評価して現物出資または事後設立の手続を履践しない限り、無償で設立法人に引継がれたものとするのが取引界の常態である。原告会社の設立に際しても、右家入、鈴木の個人企業当時の営業が一体として原告に承継され、右設立後の三重県中北部地区におけるヤクルト製品の仕入販売に関する一切の営業活動は原告が行ない、右訴外人らは個人としてはこれを一切行なつていなかつたのであるから、ヤクルト製品に関し同訴外人両名の有していた営業権は、法人成りに際し営業の一部として原告会社に承継されたものである。また、原告会社設立当時の昭和三七年四月ごろのヤクルト業界においては、個人企業を法人組織にした場合は、個人とヤクルト本社との営業権に関する契約条項にかかわらず、個人が有していた営業権は特別に承認手続を経ることなく、右設立された法人に当然引継がれたものとみなされるのが商慣習となつていたものである。したがつて原告が前記小田切から譲受けたという三重県中北部の営業権はもともと原告の権利に属していたものである。

四、減価償却の不当について

原告は、三重ヤクルト工場に一部譲渡した後の残余の営業権(三重県北部に関する分)につき減価償却を行ない、減価償却費として一、一五九、二一五円を損金として計上しているが、前記三の(三)に記載したように、右営業権はもともと原告会社設立の当初から原告会社に帰属していたものであるから、右減価償却費は発生するいわれがない。

五、営業権譲渡原価について

原告が三重ヤクルト工場に譲渡した前記三重県中部の営業権は、原告会社設立の際、原告が訴外家入逸郎から一、二二四、五〇〇円で譲り受けたものであることは、前記三の(三)に記載のとおりであるが、原告はこれをその資産として計上しその後減価償却をした結果、三重ヤクルト工場に対する譲渡日当時の帳簿価額は七三〇、九五七円となつていたので、被告は本件課税処分に当り、これを右営業権の譲渡原価として損金に算入したものである。

六、営業権計上不当について

原告は、昭和四二年一二月における訴外梅村販売店にかかる支出四九、〇八四円を営業権に計上し、これに対する減価償却費として一、六三六円を損金に計上して確定申告しているが、右支出は営業権の対価とは認められず、交際費として損金性ある経費であると認められたので、所得から控除した。

第五、被告の主張に対する原告の答弁および反論

一、第一項、第四項、第六項のうち、本件係争年度確定申告における原告の計算が、被告主張のとおりであつたことは認めるが、原告会社設立当初から営業権が原告に帰属していたとの事実は否認し、右のような認定を前提とする本件課税処分の根拠をすべて争う。

二、第二項の(一)は、訴外家入逸郎の有していた三重県中部の営業権を譲り受けたという点を除き、その余の事実は認める。同項の(二)については、被告主張のような文言の各契約が締結されたことは認めるが、右各契約は、単なる株式若しくは出資持分の譲渡契約ではなく、実質的には営業権を含む営業上の権利一切が右取引の対象となつたものである。

三、第三項の(一)、(二)の事実は認め、同(三)の事実は否認する。

四、第五項のうち、原告会社設立時において、資産として営業権一、二二四、五〇〇円が計上されていたことは認める。

五、個人がヤクルト本社との協定によつて取得した営業権は、その者の事業が会社設立によつて法人組織となつた場合にも営業権の出資等特段の事情のない限り、営業権は依然として個人に帰属するものであり、前記家入日出夫、鈴木らの有していた営業権も、原告会社設立にかかわらず、右両名に属していたものである。

第六、証拠

一、原告

甲第一、第二号証を提出し、証人榊原昇、同小田切道三、同藪本幸三の各証言を援用し、乙号証の成立(乙第一一号証については原本の存在とも)はすべて認めた。

二、被告

乙第一ないし第四号証、第五号証の一ないし四、第六、第七号証、第八号証の一ないし三、第九号証の一、二、第一〇、第一一号証を提出し、甲号証の成立(甲第一号証については原本の存在とも)はすべて認めた。

理由

一、請求原因第一項および第二項の事実は当事者間に争いがないので、以下、原告が訴外小田切道三から譲り受けたと主張する三重県中北部のヤクルト製品販売に関する営業権が、被告主張のように原告会社設立当時の当初から原告に帰属していたものかどうかにつき判断する。

二、原告会社は、従前訴外家入日出夫、同鈴木久男が、各個人でヤクルト製品販売を営んでいたものを、昭和三七年四月二日右両名が発起人となつて、同人らのみを出資者とする有限会社組織にしたもので、その営業内容も、後記第三項に認定の訴外家入逸郎の個人営業地域であつた津市およびその周辺(但し、これが原被告ら主張の三重県中部と同一であるとは断定し難い。)が加わつたほかは、右発起人らの個人経営当時と大差のないものであつたことは、当事者間に争いがなく、原告会社設立後、右家入日出夫、鈴木久男が同会社とは別個に個人としてヤクルト製品の販売をなしていたことをうかがわせるに足る証拠はない。

ところで、成立に争いのない乙第三、第七号証、証人榊原昇の証言によれば、ヤクルト製品の販売に関しては、ヤクルト本社の統制により一定地域に一業者という形で本社との販売契約がなされることとなついてるため、本社との販売契約により販売権を取得した業者は、その契約の対象となつた地域においては独占的販売権を取得することになり、右独占的販売権およびこれに付随するもろもろの利益が、いわゆるヤクルト製品の販売に関する営業権と呼ばれるものであるが、ヤクルト本社との間の右販売契約の際に個人として契約していた者が、その後法人を設立したような場合には、右契約の当事者となつていた個人が右法人の代表者として就任するものである限り、昭和四一年以前のヤクルト本社の取扱いとしては、本社と右法人との間で格別新たな契約を取りかわすこともなく、個人から法人に営業権が引き継がれたものとして取扱つていたものであることが認められ、右認定を覆す証拠はない。

以上認定のような原告会社設立の経緯およびその前後の営業実態、個人営業から法人組織に切り替えた場合の当時のヤクルト本社の取扱い方、さらに一般的に見ても、本件のような営業権は、その性質上、営業の移転が行なわれる場合には、営業権も現実に営業活動を営む者に移転するのが通常の形態と思料されることを考え合わせると、原告会社設立により、それまで前記家入、鈴木の有していた営業権は、他に特段の事情のない限り、原告に承継され原告の営業権として帰属するに至つたものと推認することができるものといえよう。成立に争いのない乙第五号証の三によれば、昭和四一年一〇月一一日ヤクルト本社との間で締結された三重県北中部のヤクルト製品の製造、販売契約の更新の際における契約当時者が、原告会社名義になつていることが認められるが、この事実は、当時本社において契約当時者を法人に切りかえようとの方針があつたとはいえ(成立に争いのない甲第一号証、証人榊原昇、同小田切道三の各証言)、営業権が既に原告に帰属していたとの推認を裏付けるものとみることができよう。

三、また、原告会社設立時において、資産として営業権一、二二四、五〇〇円が計上されていたことは、当事者間に争いがないところ、成立に争いのない甲第一号証、同乙第八号証の一、同号証の三証人藪本幸三、同小田切道三の各証言(右各証言については、後記信用しない部分を除く)によれば、原告会社設立以前には、津市およびその周辺地域におけるヤクルト製品の販売は、訴外家入逸郎が営んでいたものであるところ、原告会社設立に際し、原告が右家入から同人の有する右地域における営業権を一、二二四、五〇〇円で譲り受け、右営業権が右の如く原告の資産として計上されたものであることが認められ、右認定に反する証人藪本幸三、同小田切道三の各証言は、前記証拠に照らし信用できず、他に右認定を動かすに足る証拠はない。

ところで、商法第二八五条の七(昭和三七年法律第八二号により本条追加、昭和三八年四月一日施行)によれば、暖簾は有償で譲り受けた場合または合併によつて取得した場合に限り貸借対照表の資産の部に計上されることとなつており、右法律の施行以前においても、暖簾に関する直接の規定こそなかつたものの、商法上の解釈としてもまた会計学上の取扱としても、右商法の規定と同じく、暖簾は有償取得の場合に限り、貸借対照表の資産の部に計上できるとするのが一般的な取扱いであつたことは明らかな事実である。

したがつて、原告会社設立時における会計処理として、営業権一、二二四、五〇〇円のみが計上されていることは、必ずしも家入日出夫、鈴木久男の有していた営業権が、原告会社設立時に原告に帰属していなかつたことを示すものではなく、却つて、前記第二項認定の事実と右会計上の取扱いとを合わせ考えると、前記家入逸郎から譲り受けた地域に関する営業権のみが有償で取得され、一方家入日出夫、鈴木久男の有していた営業権は無償で原告に譲渡されたため、有償で取得した家入逸郎に関する右営業権のみが資産として計上されることになつたものと推認できるものといえよう。

四、以上認定のような事実を総合して判断すれば、原告が小田切道三から譲り受けたとする本件営業権は、原告会社設立当初からすべて原告会社に帰属していたものと認めるのが相当である。

五、もつとも、原告は、以上の点に関し、ヤクルト本社は訴外家入日出夫、同鈴木久男から、同訴外人らが有する原告会社の出資持分二、〇〇〇口および同訴外人らが株主となつていた三重ヤクルト工場の株式合計五、三〇〇株を一括して総額三五、〇〇〇、〇〇〇円で譲り受ける趣旨の契約を締結し、その後さらに、ヤクルト本社は訴外小田切道三に対し右譲り受けにかかる原告会社の出資持分を二九、〇〇〇、〇〇〇円で譲渡する趣旨の契約を締結したことは、被告主張のとおりであるけれども、右はいずれも営業権を含む営業上の権利一切が取引の対象となつていた旨主張し、前記甲第一号証、乙第三号証、証人小田切道三、同榊原昇、同藪本幸三の各証言は原告の右主張に副うところである。

しかしながら、成立に争いのない乙第四号証、証人榊原昇、同小田切道三の各証言を総合すると昭和三九年当時原告会社の営業成績が振わず、約六〇〇万円の負債が生じたため、ヤクルト本社としては、原告会社の成績の向上を図るためには経営者の交代が必要であると考え、訴外家入日出夫同鈴木久男に原告会社の経営者としてはもとより、出資社員としても全面的に原告会社から手を引いてもらうため、ヤクルト本社において経営の適任者と判断した訴外小田切道三をして原告会社の経営を担当せしめることとし、その具体的実現方法として前記当事者間に争いのない譲渡契約を締結するに至つたことが認められ、右事実に前記のとおり原告会社が訴外家入日出夫と鈴木久男のみを出資者とする有限会社であつたこと、また前段説示のとおり営業の移転が行なわれる場合には営業権も現実に営業活動を営む者に移転するのが通常の形態であることを考え合わせると、ヤクルト本社が右家入および鈴木から譲渡を受けて小田切に譲渡したものは営業権を含む営業上の権利そのものではなく、原告会社に帰属するに至つた営業権その他資産等を通じて評価された原告会社の出資持分にほかならないものと認めるのが相当であり、原告の主張に副う前掲証拠は措信し難く、したがつて、原告の前記主張は採用することができない。

六、そうすると、本件営業権は原告会社設立当初から原告に帰属していたものというべきであり、しかして、原告が昭和四二年九月一日その所有する三重県中部のヤクルト製品の販売に関する営業権を三重ヤクルト工場に二一、九七五、〇〇〇円で譲渡したことは当事者間に争いがないから、右は原告会社の譲渡益ということになる。また、原告は三重ヤクルト工場に一部譲渡した後の残余の営業権(三重県北部に関する分)につき減価償却を行ない、右減価償却費として、一、一五九、二一五円を損金として計上していることは当事者間に争いがないが、さきに認定したところからも明らかなように、もともと右営業権は原告会社に無償で帰属していたのであるから、右減価償却費は発生するいわれがなく、したがつて、右営業権譲渡益および減価償却費はいずれも原告の申告にかかる所得金額(欠損二、二六五、六八一円)に加算すべきことになり、原告会社設立の際、原告が訴外家入逸郎から同人の有する津市およびその周辺地域における営業権を一、二二四、五〇〇円で譲り受けたものであることは前認定のとおりであり、しかして原告がこれを原告会社の資産として計上し、その後減価償却をした結果、三重ヤクルト工場に対する譲渡日当時の帳簿額が七三〇、九五七円となつていたことは当事者間に明らかに争いがないところ、右は本件課税処分にあたり営業権の譲渡原価として損金に算入すべきであり、また原告が昭和四二年一二月における訴外梅村販売店にかかる支出四九、〇八四円を営業権に計上し、これに対する減価償却費として一、六三六円を損金に計上して確定申告していることは当事者間に争いがないが、右支出が営業権の対価ではなく、交際費として損金性ある経費であると認むべきことについては明らかに争いがないから、差引四七四四八円の営業権の計上は不当であり、これらは原告の申告にかかる所得金額から減算すべきであり、したがつて、原告会社の差引課税所得金額は二〇、〇九〇、一二九円となる。しかして、本件課税処分は法定の適正な税率を適用してえられる税額を賦課したものと認められるので、結局被告の原告に対する本件賦課処分には何ら取消すべきかしはない。

よつて、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 白川芳澄 裁判官 寺本栄一 裁判官 湯地紘一郎)

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